推理小説/ただのみきや
私は私の人生の単なる読者でもない
手を汚さなければならない「真っ只中」に在るのだ
完全に死んで(殺されて)いなければならない
そこが曖昧だとすべてが曖昧のままだ
被害者意識だけを持って生きることはできない
それは人生の主人公の坐に座らないことだ
事件に主導権を与えてはいけない
殺したのは犯人だ
そして犯人はこの私だ
私が私を殺したのだ
事故死にしてはいけない
誰かに犯人の役を譲ってはいけない
私が私の人生の主役であるために
そして探偵が登場する
彼は被害者の詩 否 死を直視し観察しなければならない
彼は事件を客観的に調査し推理しなければいけない
彼は事件の謎
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