推理小説/ただのみきや
主人公であるなら
殺されてはいけない
最初に殺される被害者は主人公ではないからだ
犯人か探偵であるべきだ
だが誰かが殺されなければ
犯人は犯人たりえず
探偵も登場しないだろう
つまり殺される者と殺す者がいて初めて
物語は始まるということだ
殺す者と殺される者
そして事件を解き明かす探偵
三人いなければならない
物語の真の主人公は三位一体なのだ
私は私の人生の主人公である
エキストラではない
私は私の人生の作家ではない
私が作家なら思い通りの人生を創作できるはずだが
何一つ思い通りに展開しない人生の真中で
事件に巻き込まれ奮闘しているのが現実だ
当然私は
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