詩を救うための音楽??榎本櫻湖『増殖する眼球にまたがって』/葉leaf
 
書く人間は、自ら詩を書いていることを「カミングアウト」することすら困難な状況である。詩を書いているというだけで何か内向的で気味の悪い存在だと受け止められ、一般社会において詩を書くこと自体が抑圧されている雰囲気がある。だが、それは社会の均質化圧力の横暴であり、均質化した社会からは生産的な発展は奪われてしまう。歴史の発展は、社会の不均質さ・多様性に基づく諸力の運動によってもたらされてきたのであり、社会の多様性の喪失は社会全体の豊かさの喪失に他ならないのだ。
 現代詩は、言語芸術の分野において、常に自らを他の言語形式から異質たらんとして、常に自らを更新していく分野である。「現代詩」の定義など論者の数ほ
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