ストレンジャー・ザン・サイレンス/ホロウ・シカエルボク
炎の前に立っているのが好きだった、子供の頃
セメントで出来た古い焼却場の窓をずっと覗いていた
踊る炎と燃えてゆく廃棄書類をずっと眺めていた
子供らしい興味なんか露ほども無かった
ただただ、ただただ、ただただ、揺らめくそれに魅せられていた
燃え尽きるまで見つめていることが出来た
一度
女の教師が通りかかって
俺に面白いのかと尋ねた
俺は口を開けずにただ頷いた
女教師は微笑んで去っていった
おかしなガキだと思ったことだろう
焼却場が新しい安全なものに作り変えられて
俺は炎を見つめることは出来なくなった
今でも思い出す、あの
眼球に挑
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