おいでよ、虫食いの予感 (かしゃ、かしゃ、ずるる)/ホロウ・シカエルボク
んな奴等がここに居るのか、それすらも分かってはいないのだった、俺は為す術なくその奇妙な笑い声を聞き続けた、窓の外を疾走する車のホーンがかすんで聞こえるほどの笑い声だった、どれくらいそうしていただろう?気付くと俺は自分でも笑い出していた、きっと奴等の声に慣れて、つられてしまったのだ、真夜中に仰向けに寝転んで、天井を眺めながら俺は笑い続けていた、咽喉が掠れ始めてようやく正気に戻ることが出来た、あいつらとは金輪際もう出会うことは無いだろう、俺は今夜から大人しく眠ることが出来るだろう…なぜだか知らないがそれを確信することが出来た…俺は身体を起こし、部屋の灯りを点けて、枕元を確かめた、そこには何も無かった、
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