おいでよ、虫食いの予感 (かしゃ、かしゃ、ずるる)/ホロウ・シカエルボク
在なのだろうか?ず…、と虫どもが一瞬、啜るのをやめた、どういうわけだ?食事の時間はもう少し続くはずじゃないのか…?奴等は静かに俺の頭蓋を塞いだが、去って行きはしなかった、俺の顔の両側に俺の方を向いて整列し、いっせいに笑い始めた、その声はどこかで聞いたことがあった、幼い頃に親に隠れてみた吹き替えの深夜映画の、蝿と一緒になってしまった男が上げていた声によく似ていた、いったい何匹居るんだろう?そういえばそんなこと今まで考えてみたことも無かった、十匹や二十匹では済まないような感じだった、そいつらは俺の耳元で笑い続けていた、そいつらがどうして笑っているのか俺には分からなかった、いや、そもそも、どうしてそんな
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