ボール/木屋 亞万
しボールはすぐに土に隠れたり
水底に沈んでしまったりします
私以外の誰にも見られず誰にも拾われず
私たちはボールを投げますが
投げ方はひとそれぞれです
私のように適当に助走をつけて好きな方向に投げる人もいれば
助走の距離も軌道も着地点もあらかじめ綿密に計算する人もいます
その後のバウンドや時には風や地質さえ考慮に入れ
収まるべき穴に計画的に玉を飛ばす人もいます
私はそれがどうも窮屈に思えてならないのです
そのときの気分で好きに投げたいのです
あれこれ考え、調べ、作り上げれば作り上げるほど
開かれたものであるはずの目の前の景色は閉ざされ
窮屈なもののように感じら
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