ボール/木屋 亞万
じられます
投げたボールに途中で羽が生えたって良い
着弾した瞬間ボールが弾けて
いくつもの小さなボールが
四方八方に飛び散ったって良い
風にさらわれても
鳥にさらわれても
糸の切れた凧のように降りてこなくても
その予想外のボールの行方を楽しむのです
ずっと昔にどこかに投げたボールが
意外な時に思いもよらない場所で
知らない誰かに受け止められることだってあります
その幸せはボールを投げる者の誰もが憧れることです
ボールは口からも尻からも生まれます
愛からも恋からも
物からも風景からも
季節からも歴史からもうまれます
老若男女問わず生み出すのです
ボールを持ったら
投げたくなります
蹴りたくなります
転がしたくなります
そんなボールの話です
私がしてきたのは
そして
これから私がしたいのは
そんなボールの話なのです
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