風邪と悪夢/ただのみきや
電燈の紐にも2センチくらいのやはり黒い人がよじ登っている
おれは躊躇なく小人を指でつまんで潰した
すると指に棘が刺さる
「毒入りか」と聞くと黒い男が頷く
彼らは誰かの呪詛でやって来た悪霊だと言う
おれは黒い男に指の毒を絞り出させてから
風邪をひいていてお前たちの相手はしていられないからと追い出した
そして見えない猫だけは湯たんぽ替わりに置いて行かせた
彼らが出て行ったとたんに部屋はベッド一つの洋室に変わった
それから部屋を出た
そこは古い学校のような建物で大勢の人が溢れていた
知人の知恵遅れの息子がおれにからんできた
この母親ときたらもう親より大きい息子が力任せに飛びか
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