道と夢(重なり)/木立 悟
いつか見た後ろ姿
壊れた橋
すぎる川
流れのそばのねじれの幹
降り積もる午後の色
午後の音
ちぎれた紙に書きしるす道
ねむりにつく子が
二本の木を夢みる
通りすぎるものに映る自分を
遠去かる曲がり角の向こうを夢みる
風が追いかけてきている
はっきりと触れられずにいる
降りやむ雪と
降りはじめる雪の間に
満ちてゆく色
まばたきのたびに震える水紋
こぼれる羽は紙に染みこみ
指に染みこみ
白の上に
白く染みこむ
川と道は山へと向かう
午後は水に浮かんでいる
通りすぎるものの灯は沈み
流れを止めたり
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