5/きるぷ
 
幾度も飽きずに眺めたあの絵を
休日の人ごみの中に探していた

さーっとなにかがあたまをよぎって、
その時にはもう

それがどんな絵だったかも忘れていたから、
やっぱりいつもこんな意味のない時間ばかり
繰り返してる気がする


星が周り季節が周り、
風景もぼくも周って、
輪っかのなかにとじこめられて、

この阿片窟のような休日には、
みんながみんな、
粘性の夢のようなものを吸っては吐いているのだろうか

(ぼくはラッパの音を想像している。
 存在しないものであるから。
 ラッパの音は鋭く大気を裂いて、
 おそらくはただそれだけなのだ。)




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