思い出の痛みは嘘になる/ホロウ・シカエルボク
ちゃうコだっていただろうと思うわ。それでね、あたし行ってみようと思ったのね、ジンが働いてるお店に。その話を聞いてから二日か三日くらい後だったかな、ちょうど近くに行く用があったから、外から覗いてみたの。あたし、すぐに後悔したわ。だってね、明るいお店の照明の下で働いてるジンの顔は、薄暗いファンタズムでお酒を飲んでのんびりしてるジンとはまるで違ってた。シャキッとしてるけど、その分だけ虚ろで、なんて言うのか…心が完全に死んでしまってるひとっていう感じだった。あたしお店に入るのは止めて、ジンがこっちに気付く前に、店の前を離れた。だけど、ジンは気付いてたのね、次にファンタズムで会ったとき、こないだ来てたでしょ
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