思い出の痛みは嘘になる/ホロウ・シカエルボク
 
ことを必要以上に殺しちゃって、この街じゃ珍しい大きなニュースになったわ…それがあたしが一〇才のとき。あたしは忌わしい子になって、他に身内はいなかったから一度よその街の施設に入れられたんだけど、そこでいじめられて逃げ出して、この街にひとりで戻って来た。あたし判ってたのよ、この街はあたしを追い出すことはしないって。悪いことさえしなければきっと好きに生きさせてくれるって。ヒゲがあたしに空いてる部屋をあてがってくれた。もちろん無償よ。いつか返してくれればいいからって感じで。あたしは学校にも行かなかった。毎日好きな時間に起きて、好きな時間に寝た。ヒゲが一度あたしをお酒を飲むところに連れて行ってくれて、それか
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