思い出の痛みは嘘になる/ホロウ・シカエルボク
 
して、首を何度か横に振っただけだった。
 「言えない…上手く言えない。でも、これだけは言える。ぼくはいつかどこかの街で殺されるんだ。だれにとかじゃない。街っていう大きないきものに、殺されるんだ。完璧に、跡形もなく。」
 ジンの言っていることはあたしにはよく判らなかった。おとこのひとはそういう悩みかたをするのかなって、そんな風に感じただけだった。でもそれはほんとのことだった。そして、あたしはしばらくそのことを知らなかった。

 ウェイターを止めてからジンは、ホモ野郎の薄汚いペニスを舐めて暮らしていたらしかった。ヌキ専門の坊や、ってやつ。それであるとき、ヤバいやつに捕まったのね。どうしてもさせ
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