眼差し/HAL
 
る自分を見た
その眼はだれかと話しをしたいと乞う眼だった

その眼に出逢ったしまった
ぼくは車椅子に近づきスーパーの袋を置いてしゃがんでこんにちはと声を掛けた

彼から小さな声で同じ言葉が返ってきた
ぼくはおひとりですかと問いなぜ車椅子なんですかとも聴いた

彼は階段から落ちたと答えた
右足を複雑骨折しもう手術でも治らないと医師から告げられたとつづけた

ぼくはぼくが脳梗塞を起こしたと言い
でもほらそうは見えないでしょと立ち上がって彼の前で踊った

左足首が動かないことを
分からないように注意をしながら

彼の顔に静かな笑みが浮かんだ
ぼくは踊るのをやめてまた
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