たなかあきみつ詩集『イナシュヴェ』について/葉leaf
あるつながりを生み出している知性や感覚の働きがよく伝わってくる。概念や感情が意味として自然に伝わってこない、概念や感情を読み取るには高度な解釈作業を必要とする、そのような詩行であるけれども、そこにはうまく言葉にできない或る感覚と知性が働いている。「幾何学」という論理的な概念も、「幾何学の外へ断ちおとされる風景」という具合に、視覚や運動感覚と共に与えられることで概念としての純粋さを失っている。「声」という切実な印象を残しそうな言葉も、「声の痣」という不思議な結合によってその感情的な意味合いが薄れ、抽象的になり、あるいは触覚と混ぜ合わされる。そして、このような概念や感情が詩行において自在に操作されると
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