たなかあきみつ詩集『イナシュヴェ』について/葉leaf
るとき、作者において働いている、あるいは読者に向かって伝わってくる、うまく言葉にはできない繊細な知性と感覚があるのである。
たなかの詩は、できあいの慣用句を並べたものではない。常に自らの深部へと手を伸ばし、そこに漂っている様々なイメージの感覚を確かめながら、その中でもたなかの感性の様式に照らして美的に整合的であるものをつかみ取ってくるのである。この際、たなかの深部にあるイメージは、単純に視覚的なものではないし、単純に聴覚的なものでもないし、単純に触覚的なものでもない。たなかの深部にあるイメージは、五感を統合する第六感のようなもの、「共通感覚」とでもいうべき諸感覚を統合する器官によって保持され、
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