Kよ…/イナエ
 
の級友を見ていた。彼らは この話が小学校で取り上げられたことを知っていた。君は私をちらちら見た。気にしていたのだろう。君の書いたという文は、若い担任はだませても私はだませないことを。
だが 私は校長の思惑にいらいらしていた。 君の視線が来る前に晴れ上がった冬空に視線を逸らし グランドに落ちた小石をながめ… そう 一度だけ逃げ遅れた。だから かすかに笑いを返した。そのとき 君は何を感じたのだろう。君の仲間たちが 私のことを陰で話していたように 知っていて知らない振りする優しそうな気味悪い教師? それとも してやったり うまくだませたと思っただろうか。
あの話が まじめな多くの少年たちの中へ君を引
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