Kよ…/イナエ
を引き戻そうとする 校長の演出だとしたら 君はどうしただろう。君は校長を疑っていたのか 校長はだませなかったと。だが 校長は 子供を信じて 信じて 校長になった人…
次の時間 薬でラリッている君に ボクは見てしまったのだ。もう級友の元には帰れないという君の叫び 哀しみを…。
次の日 体育館で私を見かけたとき 君は言った。「オレ馬鹿だよな まともに先生たちに向かっていって… これからは適当に付き合うよ」
あれは 校長に話を止めさせなかった私への別れの言葉だったか 大人の世界に入った宣言だったか それ以来 君は私の前から姿を消した。
Kよ 君が通りがかりの女性を刺したと 新聞で知るまで 君は何をしていたかは知らない。だが 君の中にはあの朝が生き続けていたのだ。そして 私の中には あの日の君の悲鳴が残ったままだ。
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