Kよ…/イナエ
 
あの朝 若い担任は 粗暴で担任泣かせの君が書いたという「ひとりぼっちのクリスマス」を校長に見せた。感動した校長は涙ぐみ集会で紹介していた。だが この話には君ではない原作者がいた。
母子家庭の少なくないこの学校では 夜の仕事に出る母も多く この少年のように ひとりでクリスマスを送るのは君だけではない。君の暴力行為を面と向かって忠告し続けた学級委員のIだって ひとりぼっちだ。君はそれを知っていた。だから君より小柄なIを殴ることもいじめることもできなかった。としても 君が自分の姿をこの純な少年にダブらせたことに 私は複雑な驚きをもったのだ。 

ときおり途切れる校長の話を聞きながら 君はあたりの級
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