二文法について/南条悦子
 
個人の性格とパーソナリティ障害という診断が完全に対応するという考え方がある。すなわち、性格、パーソナリティ障害という特徴的な名詞を抽出して、それらを矢印で結んでしまう思考様式を指す。科学的思考に対して、その直線的な把握の仕方から呪術的思考と呼べるものだ。「性格→パーソナリティ障害」という直線的な思考によって自身に与えられた病名を考えると、周囲の人々が誰にあっても病んでいる様に思う。つまり私にとって、直線的思考は情報の整理に役立つものの、現実を実感させるリアリティを持つに至らない。すべてのあらゆる事柄は視点の変遷であり、フィクションでしかないとする世界観は時代を反映するものに違いない。それゆえ思考に
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