二文法について/南条悦子
 
考に行き詰まれば、直線的思考の枠組みのなかで因果律のベクトルを修正しようとする。つまりその存在の基準となる二点と思考の強度(ベクトルの大きさ)はそのままにして、価値の転覆(ベクトルの向きの変更)を新たに図ろうとする。例えば、以下の状況である。まず二項対立によって、一方の価値の優位性を表面化させ、それによって、もう一方の価値の置かれた不幸な境遇を明らかにする。これは神々の交渉を意味する。さらにこうした、全体における均衡の歪みを是正しようとするのが、神々の交渉でもあり、そのことで、価値の転覆は図られる。だが、この転覆はまるで意味を為さない。X,Yという価値がある。それらはX>Yという不等式によっ
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