食卓に散乱した過去の血が詩篇の様に示唆している未来/ホロウ・シカエルボク
 
せた皿の側に愚かな群集のように飛び散った血は誰のものだ?もしも俺のものであるのなら俺がそうと気づかないはずがない、そこには必ず俺の臭いというものがあるからだ―血―俺は過去に流れた血というものを想像する、過去に流れた血というイマジネーションに捕われる、イマジネーション、インスピレーション、それはどこからか俺の脳内に入り込んでくる、マジシャンが思い通りの場所にカードを差し込むみたいにそれは忍び込んでくる、過去の血、それが過去のものなら臭いを持つはずがない、臭いを持たないのならそれが誰のものなのか判るはずもない、食卓の椅子に腰を下ろし、過去の血と語り合う、俺の家の食卓にこの血はあるのだから、余程の奇妙な
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