食卓に散乱した過去の血が詩篇の様に示唆している未来/ホロウ・シカエルボク
 
必要とする間、限り無く近しい線上に存在しようとし続ける、そんな境界の上に成り立っているのさ、雨の日のフロントガラスのように時々虚ろに歪む視界に辟易しながらね…詩文が必要だと誰かが言う、音楽が必要だと誰かが言う、絵画が必要だと誰かが言う、そして、そのどれもまったく意味の無いものだと言う誰かも居る―真っ白な口笛がおそらくは自転車に乗っている誰かの口元から聞こえる、不十分なハイ・トーンを歌うスクーターの誰か、北から南へ歩いてゆく陽気な酔っぱらい、通過してゆく、通過してゆく、通過してゆく、通過してゆく、夜に跳弾する、夜に跳弾する彼らの覚束ない存在、食卓の上で凍りついた歌をただただ数えている…その歌を乗せた
[次のページ]
戻る   Point(1)