視線/くみ
 
ップは恋人の趣味である。

「いい匂いする」

「もうすぐ出来るから、もう少し待っててね」

恋人が座っている方向に目をやると、読んでた本から上げられた恋人の目と顔が優しくうんと自分に向かって頷く。その瞳と顔に自分は弱い。この瞳は何度見ても大好きだったし、じっと見つめらればドキドキしてしまう。たぶん今も自分の顔は赤くなってるだろう。

俺は出来た珈琲をカップに注いだ。恋人の大好きな銘柄の珈琲はとってもいい匂いだし、味もなかなかなのだ。いつも思うのだが、お揃いのカップを出すのは少し気恥ずかしい気もしないではない。今更何考えてるんだと思いながらも平然とした顔を繕って珈琲の入ったカップを
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