「なにしにきたの」/ホロウ・シカエルボク
 
う脈動がなかったせいだ
街路
街路は
ところどころ
おぼつかない灯りに照らされ
濡れた身体をきらめかせている
もうだれも見当たらなくって
おれは
ただただ歩いている
目的もなく
生き延びた野良猫のように
うろうろと
辺りをうかがいながら
薄暗い路地の
潰れたバーの前で
ひとりの浮浪者が眠っていた
息のある眠りか
息の無い眠りかまでは判らなかった
ただ店の入口に身体をあずけて
静かに目を閉じていた
まるで
その店がいつか開くことを待っているみたいだった
かれは
すべてのクローズに取り巻かれたのだ
きっと
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