まるで他人事のように自分の冥福を祈る/ホロウ・シカエルボク
 
永遠に破られない約束を持つことに近いと彼女は言った
その通りのようにもまるで違うようにも思えた
何度も話をしたのに
自己紹介を一度もしなかった
彼女の名前を知ったのは
彼女が潰れたデパートの屋上から飛び降りて死んだあとだった
俺は最終便が行ってしまったバス停に座って
彼女がやって来るのをじっと待っていた
彼女がやってきて天気とか睡眠時間の話をするのを


いつ誰に貰ったものなのかまるで思い出せないのだが
気に入って飾っている絵がひとつだけある
絵には疎いのでどういう種類のものなのか判らないのだが
そこにはうら寂しい岩山のふもとの小さな集落が描かれ
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