まるで他人事のように自分の冥福を祈る/ホロウ・シカエルボク
 
かれている
空は曇りで(まるでそれ以外の天気が無いかのような堅実さで)
人々は皆うなだれるように仕事をしている
余り暖かいところではないのだろう
山の上には万年雪のようなものが積もっている
皆うなだれていて
そしてこれまでのこともこれからのことも
すべて知っているというような目をしている
そして知っていながら
何をどうすることも出来ないのだ


崩落した記憶は
心の底に蓄積するままにしておけ
無理に掘り出そうとしても
指先を傷つけるだけ
荒れた舌のような色の夕焼けを見た日に
幾つかの欠片が取り戻せないところまで砕ける音を聞いた
夕飯のときにほんの少しだけ呆ける時間があったのは
その中に俺の死体が混じっているのを見つけてしまったからだよ



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