詩人/葉leaf
て醸成された道徳を真っ黒く塗りつぶした。欠落という巨大な茸は飽くことなく地下を開拓し、夥しい言葉の胞子をもとにして否定という高級茸を大量生産した。欠落は生殖のために否定を生み出さないではいられなかったのである。そうして僕は、自然から、人から、社会から、それぞれの音色で伝わってくる愛をきれいに遮音して、破壊された自分がもっと破壊されていくように、自然と人と社会の丹念なまとわりつきを破壊しつくした。自由だ! 欠落の中に引きこもる自由! 否定の快楽に酔いしれる自由! そして、無量の寂しさに苦しむ自由! しかしこの自由は、つまりは重力に逆らって空中浮遊している人間が錯覚する自由に過ぎず、人間としての、そし
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