近景/岩下こずえ
く見切れてゆく
あの遠いちいさな家々の
ように生は
そーゆうレトリック使うから
終わんないのね、いまのかんじが
なにそれ
ああ破れまんじゅう、職場のひとに
わたすの。いいひとだものね
きっとこんな風でなくて
笑えているはずだし
そうだね
ありうるやらあらゆるやらゆるゆるとゆらめかせる
ばかりの。ばかりでもなくあるはあるといいそえる
だけの。だけではないこれきりでそとはないからと
縫いとじては、
せわしなく午後ティーのボルトをひねって
あごをむく
ひくい雲の水分にじゅうぶんにしめった
唇を
過分にぬらすくらいで
胃までのまない
肋骨のうらで
きえる
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