近景/岩下こずえ
える
つめたいのに
のどぼとけが、うわずりかける
手前で
不充足を充足に
それ食べちゃわないの。食べない。
なんで?
は、どちらが言ったのだか
どーぶつを塞栓する、ついでにせーしんも
背伸びしたふりで
からだの死んだようなとこだけ
あちこちに
尖らせる
いまのかんじがつづいてゆく
ぎしぎしときみもきみのきみも軋り
山の裏手のらいこうより
電圧の不発をたかめる
とはいえ遠景
もし遠景というものが可能であり、そこから
かぞえるように
まなざしうるとするなら
いつのまにか鳴りはじめていた五時のサイレンに気づくほどの
閾をこえぬ
ふるえに
すぎないのだが
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