ワレモノワレワレ (生体反応の設計)/乾 加津也
 
レなり!
パッとひらいた花が
 美しい

われわれは 五月のこいのぼり
われわれは 北極にするどい氷山
      砂漠を通過する一夜の疾風
たちどまる
      おじぎ草のたたみ込まれた葉脈
      神の眼にとまった一遍の物語
ついさっき
      我々をさかのぼった場所で造られた
 だ断断断 ん 断層
――顕微鏡にひしめく細胞分裂―――

雪はちぎれているようで実は割れている その上の
大気は巡っているようで実は戸惑っている その上の
宇宙は掠れているようで実は 創だらけだ
それからとうとうわれわれは
たとえ死んでも 孤独ではないのだ
―――死者
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