パターナル/salco
一瞬の為の
頭を押さえられ冥途へまっさかさまの絶望におかまいなく
突き抜けるように真っ青な空を
剥き出しの胸にうららかな陽を受けながら
だが親父は呻き声一つ洩らしやしなかった
声帯もぶった切っちまったもんで・・・!
剣の切っ先が輝きの弧を曳くと
盛大な血飛沫が噴出し
親父の顔や乾いた地面のそこいら中に降り注いだ
赤い噴水みてえに迸らせながら
それでも窒息か失血のどっちが先に来るのか
ずいぶん待たされたもんだ
そうやって利き手に剣をぶら下げて
長らく突っ立っていたそうだぜ
死体になるまでな
これが長い芸歴の一世一代
白眉の見世物だったってわけよ
唖然と観
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