夜のタマネギと砂の城/ストーリーテラー
界を切りとった窓は
現実味のない東の朝を放映し
湿った地面はいのちの匂いをまき散らしている。
そこから、目を閉じるまでの数分間
僕はしっかり苦しんで、生きることを思い出す。
目を開けると、砂の城
やっぱり何も覚えてなくて
僕は白く閉ざされた一面の城壁を触る。
鍵はなく、色もない。
城の中で三角座りをしたまま僕は色々なことを思う。
もし、この壁が剥けたらなぁ。とか。
それがだめなら・・・
せめて、砂ではなくてコンクリートなら
爪が割れるまで引っ掻いて
赤い絵の具で綺麗な夕焼けを描けるのに。とか。
外から見れば、このお城もきっと美しくて
誰も僕のお墓だなん
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