二つのソラリスについて/渡邉建志
ながら机に座ってタバコをすう妻の背中と重なる。これは単純にこの構図を彼が好んだだけなのか?僕にはなんとなくタルコフスキーの「妻と母親の同一視とその葛藤」を映し出しているように思えるのである。母への愛と妻への愛の混同。そして、母と妻はおそらく仲が悪かったのである。
母親が息子の手を洗うシーンの美しさはなんともいえない。そしてその瓶が物質化して宇宙船に残っているシーンは驚くほど美しい。愛(どちらに対するのものか)が結晶化したように、宇宙船の窓辺の植物が芽生えているのをとらえた少し長めのショットは本当に美しい。あのズームインで泣けてしまう。
冒頭の地球のシーンの美しさ。未来都市の車の走るシーン、
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