二つのソラリスについて/渡邉建志
くさん歩き回っているシーン(実際クローンだからますます綾波レイっぽい)の中に、一人だけ「母」がいるシーンには、ものすごい戦慄を覚える。母への愛と、妻への愛の壮絶な戦い。それは地球への愛とソラリスへの愛の戦いなのかもしれない。
この映画を見たら、ぜひ「鏡」を見てほしい。これも母への愛情に満ちた映画であるが、「ソラリス」と響きあう場面がある。「ソラリス」において母親が、「電話を長い間くれなかった」と息子を責めるが、鏡にも同じエピソードがある。また、「鏡」の最初の方に、母親が向こうの景色を見て、柵に座りながらタバコをすう背中を映すシーンがあったが、これは「惑星ソラリス」において、ブリューゲルを見なが
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