二つのソラリスについて/渡邉建志
 
タルコフスキーは、SFの部分を重くしすぎた、と考えていたようである(とはいいながら、宇宙を描いたのは、宇宙船がステーションに近づいていくシーンだけであり、そのSF的描写の少なさこそがこの映画と「2001年宇宙の旅」を峻別していると思う。タルコフスキーは「2001年」について次のように述べている。「スタンレー・キューブリックの『2001年宇宙の旅』を最近見ました。人工的なものの印象が残りました。最新科学技術の業績を見せる博物館にいるかのようでした。キューブリックはそういうことに酔いしれて、人間のことを、人間の道徳の問題を忘れています。それがなければ、真の芸術は存在できません。」http://memb
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