二つのソラリスについて/渡邉建志
験して思ったのは両方貴重なものだということ。まず、中心テーマが違うように思う。レムのテーマについてはすでに触れたとおり、「不可知なものとの接触について」だ。しかし、タルコフスキーにおいては、(おそらく)「家族の記憶」のようなものなのだと思う。タルコフスキーは後に、惑星ソラリスは失敗作だったといっている。SFというジャンルから逃れることができなかった、と。彼はSFを映画化したかったのではない。ソ連政府の目から逃れるために、SFという殻を借りたに過ぎない(それはショスタコーヴィチの方法論と似ている。一見違うもののように見せかけて、その奥で違うことをテーマにしている、ということにおいて。)。しかし、タル
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