空白地帯/ただのみきや
 
みるのだ


詩が真理への道だとは思っていない
だが心に埋れた真理の欠片を映す鏡にはなれるだろう
詩は神ではない(ミューズなんてろくな女じゃない)
むしろ妖怪ではなかろうか
あるいは調合次第で化ける言葉の錬金術かもしれない
失敗したら感動実話すらガスになる
いろんなものを生み出すが何時までも黄金には至らない
詩作は依存をもたらすアブサンの魔力


わたしという詩を見るとそこに港がある
山があり草原があり鳥や虫たちが暮らしている
季節が廻り時は過去現在未来行き来している
街があり人々は泣いたり笑ったりしている
しかしそれは外観だ
まだまだ埋められない空白が中心に広
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