生命の雲/まーつん
」
アナゴ爺は
顎先をしゃくって
僕らの遥か頭上に
光る渦を巻いている
魚の群れを指し示した
「あれが お前さんが
逃げ出してきた社会だ
彼らの周りを見てごらん
より大きな身体を持った
サメ達の不吉な影が
見えるだろう
あの子たちの中から
はみ出したものを
食べてしまおうと
狙っているのさ
お前が 羨ましがっている仲間たちは
仲がいいから 集まっている訳ではないのだよ
そうではなく、天敵から身を守るため
恐れから 逃れるために
身を寄せ合っているに
すぎないのだ
そして お前さんのように
周りの
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