生命の雲/まーつん
は 煙たがられて
早く死ねばと 思われとるのさ
食い扶持がひとつ減れば
残った奴らの取り分は増える
それに わしの住みかには
少しばかり
不思議な霞の 蓄えもある
そいつを掠め取りたいと
狙う奴らも多いのさ 」
「不思議な霞?」
「夢の見れる粉さ。年に一度だけ、
前触れもなく降ってくる
みんなはすぐに
舌にのせてしまうが、
儂は舐めずに
残しておいたのだ
それを狙う
奴らもいる」
僕は苦笑いした
「世知辛い土地柄だね 」
「そうとも
お前さんがいた所と
そう変りはせんさ
彼らを見てごらん 」
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