生命の雲/まーつん
 
さんの口に合う
 食べ物はきっと
 ここにはない

 俺たちみんな世捨て人
 霞を食らって生きてるからさあ。」

首を揃えて合唱すると
若いアナゴ達や
古株のアナゴ達は
またヒョイヒョイと
てんでに各々の
穴に引っこみ、
砂の下に潜っていった

僕は
ぽかんと開けていた口を
何とか 閉じることに成功すると

「なるほど
 お仲間がたくさんいて
 うらやましいね   」

それを聞いて 
老いたアナゴは
苦々しく笑う

「うらやましい?
 うらやましいって?」

 アナゴの口から泡があふれる

「儂は 今では厄介者さ
 若い奴らには 
[次のページ]
戻る   Point(6)