生命の雲/まーつん
よ 」
僕が身体をひねらせて
尾びれでピシリと水底を叩くと
辺り一面 白い砂のあちこちに
ぽかり ぽかりと 穴が開き
たくさんの
アナゴの頭が一斉に
飛び足して 首を伸ばして
くりくりした目で瞬いて
僕を珍しげに眺めると
口からポコポコ泡を吐いて
声を揃えて 歌いかけてきた
「おーい おーい
また新入りだ
家出小僧が迷いこみ
拗ねた顔してどうしたの?
親にハタかれたか
ジャリのイジメか
気が済むまで泣いたら
家に帰るが無難だよ
帰る所があるならね
無ければここに居つくのも
勝手だけれど知らないよ
お前さん
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