生命の雲/まーつん
 

歩き去っていった

そして
 
 
静寂
 

僕の体を抱きかかえ
じっと座り込んで
動こうとしない
深き海の懐


(?)


そうして
宙を眺めて

どれくらいの時が
経ったのだろう
張りつめる静寂に
心が震え始めたころ
 
腹の下で
砂がむくりと
盛り上がり
アナゴが一匹
顔を出した

「何をしている、お前さん 」

「放っておいて
 僕は一人でいたいんだ 」
 
取り乱した僕を
じっと見つめ返す
年老いた魚の目

「それならもっと
 向こうへお行き
 そこなら誰も
 邪魔しないから 」

(?)
[次のページ]
戻る   Point(6)