生命の雲/まーつん
星雲から迷い出た
流星のように
時空の隙間に滑り込み
暗闇へと堕ちていく
一匹の魚
尾びれからも
背びれからも
自ら進んで
力を抜いて
やがて
ぶつかる水底に
白く輝く平原を見る
それは
荒波に屠られ
潮の流れに噛み砕かれ
雨と海底に降り積もった
無数の海の死者の骨
歳月に洗われ
静けさに漂白された
白無垢の絨毯が
軟着陸した 僕の身体を
やわらかく受け止め
立ち昇る水煙に
むせていると
通り過がりの赤ガニが
ぽこり ぼこりと 泡を吐き
威嚇の鋏を 振り上げた
飛び出た目玉で 睨みつけ
小さな足跡を残しつつ
[次のページ]
戻る 編 削 Point(6)