観念はあっという間に古びては消えてゆくものだ/ホロウ・シカエルボク
に忘れたまんま
床に倒れていたのは何時間ぐらい前のことだっただろう
少しも腹など減っていないのに当たり構わず詰め込んで
動けなくなって諦めているうちに眠ってしまったんだ
サラサラとした粉の味がするからきっと
最後に食べたのは菓子パンのような食いものだったのだろう
起動に失敗したパソコンの曖昧に黒いままのディスプレイみたいに
浅い眠りに襟足を引っ張られたままぼんやりと目を開けている
そんな原因がこんな景色を呼び寄せているのだろうか
鼠色の夜は物言わぬやつらの宴
水槽の結合部の僅かな欠陥から少しずつ漏れる水みたいに
ただただ辱めるためだけの平手打ちのような時
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