ゴロツキさん/栗山透
 
ゴロツキおじさんは混乱した

自分がどこに居るのかわからないから
ここからどこへも動けない
あの日々こそ 本当だった頃の最期で
今はおまけみたいなものなのだ うん

くっきりと秋の匂いがする
ゴロツキおじさんは空をみあげた
空にはこまぎれな雲が浮かんでいる
心地いい風が頬を撫でる
嘘みたいな風だ

「旦那さんにね、
口角が下がってきたねって
言われてから口角を
あげるようにしてるの」
彼女はいつもの素敵な笑顔で言った

ゴロツキおじさんは
「そうなんですか」とだけ言った
じゅうぶんすてきですよ、と思った
でもすぐに嫌気がさした

たまにどうしようもな
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