午睡/破片(はへん)
き手の姿
がないまま産み出される、音の運び手、は、黙祷のさなかに言葉を失う。
はじっこ。
まんなかでは、ないところ。
乾いた服を、脱ぎ捨てることが出来ないでいる。輝いたりしないただの塵
の、小さな粒子の中の、炎、探り当てるたびにその熱がまぼろしだとわか
る。何度も、何度でも、砂粒よりも小さな炎をとりだして、とりだして、
雨にうたれて濡れるあなたに投げてあげたかった。誰のでもない人差し指
の分だけ離れた爪先がむかいあって、あなただけが雨に降られ続けて、た
だこの雨が世界を濡らすと信じている、あなただけが。架かる橋はひとつ
もなく、あなたのもとへは、まっすぐ、あるいてい
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