タワー・オブ・テラー/済谷川蛍
 
開いた。ナツオが「いやだ」と言った。想太は何となくその理由がわかった。それは自分への信頼の無さだった。ナツオはカオリに頼んでいっしょに階段でトイレに連れてってもらうことになった。「だいじょうぶ?」とカオリに遠慮がちに聞かれたのが想太はとても恥ずかしかった。閉じたドアを再び開ける。チラッと後ろを振り向くと、あの色白の従業員が目を細めてこっちを見ていた。想太はゾッとした。とにかくエレベーターに乗り込んでボタンをよく見た。階数を示すボタンのほかに「開」と「閉」のボタンもあって少し混乱した。想太は「1」と書かれたボタンを押して、「閉」のボタンも押すか迷った。ケンジがゲーム画面から目を離し、観察といった具合
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