タワー・オブ・テラー/済谷川蛍
 
が鬼ごっこをしようといった。迷惑になりそうなので控えていたのだが、なんといっても鬼ごっこはエキサイティングである。ニンテンドーDSをしていた子も加わってキャアキャアと甲高い声を出して走り回っていると、バイキングルームの入り口に立っていた黒いスーツを着た従業員の男が無表情のまま近づいてきて、無表情のまま冷たい調子で子供たちに注意した。子供たちはその男が不気味だったので怖気づいてしまった。親たちは食事を終え、いつ終わるともしれぬ世間話で盛り上がっている。
 小学3年生のケンジは再びゲームを始めた。その姉で小学5年生のカオリはケンジの左側に座って本を開き勉強を始めた。カオリと同級だがクラスが違う想太は
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